ここは西アフリカはモーリタニア、国の大部分が砂漠だ。公用語はフランス語を使う。モロッコからは西サハラを通り陸路で抜けてきた。まずは国境の街、モーリタニアは第二の都市ヌアジブ。モロッコの隣国だがそこは別世界だ!モロッコでは見掛けなかった黒人の人達しかいない。ここからアフリカ大陸の旅が始まるような感覚。 まじか・・いかついな・・・きおつけないかんな、平和ぼけがいっきに吹っ飛んだ。モロッコもそうだが入り口となる街はとてつもなく人間臭い。このまま海沿いを南下して首都ヌアクショットに抜けてセナガルに行くのは簡単だがそれでは高いビザ代を払って来た意味がない。来たからには内陸はサハラ砂漠の方から回って旅しよう。 これからのルートをある程度決めて、ヌアジブでストリートスナップを撮り終えてから砂漠の街アタールを目指すことにする。(人間臭い街は興味深い)
聞くとこによるとヌアジブからアタールにはひたすら砂漠を走る、アイアントレインいう車体が2~3キロつずく長い貨物列車が走っているという。しかも貨物車ならただ乗せてくれるとの話だ! 列車は午後13時~16時の間に出発するらしい。13時前に駅に到着する。列車は15時には来るという。しかし待てど待てども来る気配がない。駅で待っているツーリストは俺1人、他は皆ローカルの人達だから目立つ、視線を感じるが危なさは微塵も感じない、どちらかというとフレンドリーだ。1人のモーリタニア人が話しかけてくる。何故か牛乳を買ってくれた。暫くぼけ~と人間観察をしたり、隣に座っている子供にちょっかいだしたり、こっちみてくる人達とアイコンタクトしたりして過ごしていた。 するとまた彼が話しかけてくる。彼の名前はモハメッドという。イスラムの人達はモハメッドとかアハメッドとか同じ名前の人達が多いから憶えやすい。名前を忘れたらモォアアハメッドとか濁して言えば乗り切れる。こんどはビスケットを買ってくれた。断るのだが押しが強い! 何故にと思いながら?ありがたく頂く、いい奴だな・・(旅をしているとたまにお金や食べ物をくれる人がいる) モハメッドは俺にお前はなんでムスリム(イスラム教徒)ではないんだ?としつこく訪ねてくる。彼はイスラム教の素晴らしさをどうしても伝えたいらしい。お前これからアタールに行くんだろ? モハメッドはシュンにある自分の家に来てイスラム教を勉強するかと提案してきた。シュンはアタールに向かう途中の田舎の村で、そこで列車を降りアタール行きのバンに乗り換える。アタールから更に4駆の自動車に乗り換えて2時間程走ると目的地、世界遺産砂漠の街シンゲッティだ。 どのみち経由地だし話していても悪い奴じゃない、牛乳とビスケットくれたし急ぐ旅でもないしと・・ 正直、これまでの旅路で人々と宗教との繋がりがとても根強いことは感じていた。どんなものか興味もわいている。いいチャンスかもなと、お誘いにのることにした。結局電車が来たのは日付けが変わった深夜1時、彼の家に行く約束し12時間待った列車に乗り込んだ。アイアントレインは走りだした。
ミスったな・・・と思うまでにそんなに時間はかからなかった。衝撃がものすごい、今まで撮った写真のデータが全部とぶかと思うほどだ、それだけは勘弁して下さいと一人呟く。夜は鉄の冷たさで固くて寒いし太陽がのぼると今度は暑い。砂嵐のなかにず~といるみたいで全てが物凄く汚れた。今までの旅の移動でワースト3に入るくらいしんどい移動、タダでただ乗っているだけなのにだ。 9時間の拷問に耐えてシュンに到着、彼の家でお昼ご飯をご馳走になり夕方頃にモスクに向かう。小さな村だ、生活に必要な物以外なにもないと思える。
モスクには若い人達から年寄りまでの20人くらいの人達がいた。 俺は正直驚いた、特に見た目は60代以上の人達かな? 凄く綺麗な目をしている。優しさが目から溢れている。知的でなにか悟っているようなそんな目だ。子供のピュアな目とは少し違う。彼らは物心ついた時からイスラム教を人生で1番大切な存在として生きてきてる。ムスリムは1日に5回のお祈りの時間がある。お酒や女性、他にも抑制が強く助け合いやシェアの心がとても強い。ある一部分の意味では日本と真逆。どちらが正しいのかは問題ではないと思う、生まれてきた場所の違い、ただそれだけのことだ。 この小さな村では娯楽もない、あるものはシンプルな生活と宗教だけ。 それでもここに住む人々からは幸せを平和を優しさを助け合いを強く感じた。俺はブラヒムという名前を頂いた。そしてこの経験が後のモーリタニアの旅路での人々との距離をより一層にちじめくれた。モーリタニアの人達は優しくとても暖かい。おちょくられることも少ない、大切な何かが色濃く残っている、よき国だ・・。この昔からの文化や平和がいつまでも続くことを願う。 人間の奥深さを、世界の広さを、また一つ教えてくれた・・ しょこらん☆砂の国モーリタニア・・
冒険の末に辿り着いた
世界遺産・砂漠の街シンゲッティ Oasis テルジット